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展示設計って何?-その5:科学館をつくる

展示設計を受注してから

科学館の計画では、設計を受注してからも大変です。
コンペは他社との競争ですから、注目を受けないとなりませんし、「面白そう!」というイメージを審査員に持っていただく必要があります。
そのため展示装置の計画なども「ちょっと難しいかな?」とか「とりあえず面白そうだから」などという理由で提案書に盛り込んでいるアイテムもあります。
そうした中途半端なアイテムを具体的な運営体制を考えて見直してゆかなくてはなりません。

展示アイテムの再検討

発注者側と展示内容についての打合せ建築の計画図を入手して、展示室の配置などを元に来館者の導線を考え、展示室内のしゾーニングを検討し、展示アイテム全体を見直します。
これまでの経験で、製作や運営に問題が無さそうなアイテムはそのままデザインに入りますが、そうでない、アイテムについては、実験が必要になります。
しかし、この実験がなかなかに大変で、簡単に実験できるアイテムはすぐに実験してデザインに移れるのですが、実験材料が高価だったり、高度の技術などが必要で、予備実験をするのにかなりの費用が掛かるような場合は、工事を受注してからでないと実験が出来ないことも多いのです。
回転水槽の実験その場合は「だいたいこのぐらいで作れるだろう・・」というような「アバウト設計」や、「このような操作で、このような現象が再現できる装置」というような「動作仕様設計」になってしまいます。
発注者が、設計費用に膨大な実験開発費も見込んでくれればば、正確な、そのまま施工できるような図面を作成することも可能かもしれませんが、現実的には展示装置というのは、作りながら、なんども改良していって最終的にまとまる・・というのが多いので、図面と製作を別にすることは不可能です。

工事業者を決める

放電管の見え方の実験そんな「設計図に反映できない部分」が多いので、工事を受注してから実験して、内容を再度詰めるというのが実情です。
こうした「あいまいな余地」を残しながら、展示工事のための設計図書がまとめられてゆきます。
こうして出来た展示設計図を元にして工事業者を選定するのですが、「設計図に反映できていない部分」が多いので、通常の入札で業者を選定した場合に問題が発生します。
それは、実験が出来ていないために図面が未完成な部分も多く、施工業者がその図面どおりに装置を作っても、意図したとおりの効果が無かったりした場合に、設計者も施工業者も、その責任を負いきれなくなってしまいます。
そこで、やむえず入札方式ではなく、「随意契約」という発注形式で、展示設計した業者に発注される事あります。

展示をつくる

こうした紆余曲折を経て、幸運に展示工事を受注すると、まず設計図書にある展示装置が、意図しているとおりに動くかの動作実験をしてみます。設計どおりで全く問題の無い装置であれば、すぐに製作の段取りに入れますが、設計段階では費用の関係で実験が出来なかった装置などは、予算を組んで本格的に実験をします。
浮沈子の実物大装置での実験こうして装置の大きさや操作方法、展示効果などを確認して発注者の了解を得てから製作図を作成して、展示室の造作にどう納めるか調整します。
他にも、解説グラフィックについても、具体的なイラストや写真を用意して、原稿を書き起こし、内容を確認して、承認頂いて製作してゆきます。

※ここでご紹介している内容は一般的なプロセスであり、リブデザインが全てのプロセスに関わっているわけではありません。また使用している写真は参考資料です。
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